【社労士が解説】人工関節で障害年金を受給する際のポイント
人工関節とは?
人工関節とは、人工関節置換術といい、主に変形性関節症や関節リウマチなどの疾患で悪化した関節表面を取り除き、人工関節に置き換えることです。
対象疾患には、変形性関節症、関節リウマチ、骨壊死症などがあげられます。
関節痛や動きの悪さで、日常生活に支障が及んでいる方もいます。手術以外の治療法を行っても、症状が軽減されない場合に人工関節手術が行われます。
下肢や上肢に人工関節の置換手術を受けている方は、少なくとも障害厚生年金3級に該当する可能性が高いです。
障害年金を受給することにより日々の生活を助けることが出来ます。
ポイントを見ていきましょう。
障害状態の確認
障害の程度 | 障害の状態 |
1級 |
両下肢の機能に著しい障害を有するもの(以下「両下肢の用を全く廃したもの」という。) |
両下肢を足関節以上で欠くもの | |
2級 |
両下肢の全ての指を欠くもの(以下「両下肢の10趾を中足趾関節以上で欠くもの」という。) |
一下肢の機能に著しい障害を有するもの(以下「一下肢の用を全く廃したもの」という。) | |
一下肢を足関節以上で欠くもの | |
身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号とと同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの | |
3級 |
一下肢の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの |
長管状骨に偽関節を残し、運動機能に著しい障害を残すもの | |
一下肢のリスフラン関節以上で失ったもの | |
両下肢の10趾の用を廃したもの | |
身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの |
※下肢の3大関節中1関節以上に人工関節又は人工骨頭をそう入置換したものや両下肢の3大関節中1関節以上にそれぞれ人工関節又は人工骨頭をそう入置換したものは3級と認定する。ただし、そう入置換してもなお、一下肢については「一下肢の用を全く廃したもの」程度以上に該当するとき、両下肢については「両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの」に該当する時には、さらに上位等級に認定する。
「一下肢の用を全く廃したもの」とは
一下肢の3大関節中(股関節、膝関節、足関節)いずれか2関節以上の関節が、通常の他動可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減している場合。
「両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの」とは
両下肢の3大関節中(股関節、膝関節、足関節)いずれか1関節以上の関節が、通常の他動可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減している場合。
初診日
初診日とは人工関節置換術を行うことになった傷病に起因すると思われる症状が発症した際に初めて受診をした日。
この時点で加入されている年金により、支給金額に違いがあります。
(国民年金=障害基礎年金、厚生年金=障害厚生年金)
障害認定日
障害認定日は原則初診日から1年6か月経過した日になります。
ただし、人工関節または人工骨頭の場合は「障害認定日の特例」が対象となり、初診日から1年6か月経過する前であっても、そう入置換した日が障害認定日となります。
診断書
記入してもらい等級の判定に使用されます。
診断書を記入いただくにあたって、日常生活等の診断書を記入するのは医師でも難しいため、医師に正確に状況を伝える必要があります。実際と異なると不支給との結果になることがあります。
病歴・就労状況等申立書
診断書を記入するにあたって記入したものを渡すことで伝えることがまとまっているので簡略化可能。診断書と一緒に年金事務所で確認をする書類。どういった症状なのか、日常生活にどういったことが起きているのかを確認する書類の一つ。
保険料の納付
初診日の前日に、初診日がある月の前々月までの被保険者期間で、国民年金の保険料納付済み期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合委員機関を含む)と保険料免除期間を合わせた期間が3分の2以上である必要があります。20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合はこの条件は不要となります。
※申請をするにあたって、戸籍謄本や通帳コピーなどが随時必要となります。
もらえる金額
初診日時点で加入されている年金により、受給額が異なります。
国民年金加入者の場合
障害基礎年金は1級若しくは2級のみとなる為、症状が重い方が対象となります。
障害基礎年金支給額(1級若しくは2級)+子の加算額(18歳到達年度末までの子がいる場合)の支給となります。
厚生年金加入者の場合
障害厚生年金は1級から3級まであり、2級以上であれば基礎年金分が加算されます。
厚生年金3級の方は3級の支給となります(最低保障額596,300円)
1級支給若しくは2級支給の場合、障害厚生年金(1級or2級)+子の加算額+障害基礎年金(1級or2級)+配偶者の加給年金の支給
※障害基礎年金は1級(993,750円)と2級(795,000円)で固定金額となりますが、障害厚生年金は加入期間や支払う金額で異なります。
障害年金を受給するにあたって人工関節の方は障害認定日が早いため早めの受給が可能です。少しでも早く申請をする事で、生涯でもらえる年金額が増えるので早めの申請を!
最終更新日 8か月 by 大庭雄輝
投稿者プロフィール
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当事務所では兵庫県内神戸・芦屋を中心に障害年金に関する幅広いサポート依頼に対応しております。兵庫県内はもちろんのこと、他府県でも対応させていただきます。当事務所は『障害年金のことで困っている方々の力になりたい』という想いから、障害年金特化型の当事務所を立ち上げました。
障害年金を受給できれば、ご自身やご家族の経済的な安定はもちろん、精神的な支えにも繋がるはずです。もし障害年金のことでお悩みでしたら、まずはお気軽にご相談ください。
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