視覚障害で障害年金を申請する際のポイント
視覚障害は、日常生活や仕事に大きな影響を与える可能性があります。障害年金の申請は、視覚障害により生活が困難になった方にとって大きな支えとなる制度です。本記事では、視覚障害の障害年金申請における手続き方法のメリット・デメリットと、視覚障害の傷病例について解説します。
視覚障害の傷病例
視覚障害と一口に言っても、その原因や症状はさまざまです。以下は、視覚障害に該当する代表的な傷病例です
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網膜色素変性症
網膜の光を感じる細胞が徐々に機能を失う進行性の疾患です。視野狭窄や暗所での視力低下が特徴です。
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緑内障
眼圧の上昇により視神経が損傷し、視野が狭くなっていく疾患です。早期の段階では気づきにくいことがあります。
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糖尿病網膜症
糖尿病による合併症の一つで、血糖値の上昇が原因で網膜の血管が損傷し、視力低下を引き起こします。
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黄斑変性症
加齢によって発生することが多い疾患で、中心視力が低下するのが特徴です。
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網膜剥離
網膜が剥がれることで、視力が急激に低下したり、視野に影が現れることがあります。
これらは一例であり、他にもさまざまな疾患が視覚障害に該当する場合があります。
障害等級と認定基準
視覚障害による障害年金の認定は、その障害の程度に応じて1級、2級、3級、または障害手当金が適用されます。それぞれの基準について以下で詳しく説明します。
1級
- 両眼の視力がそれぞれ0.03以下のもの
- 一眼の視力が0.04、他眼の視力が手動弁以下のもの
- ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のI/4視標による周辺視野角度の和が80度以下かつI/2視標による両眼中心視野角度が28度以下のもの
- 自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が20点以下のもの
2級
- 両眼の視力がそれぞれ0.07以下のもの
- 一眼の視力が0.08、他眼の視力が手動弁以下のもの
- ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のI/4視標による周辺視野角度の和が80度以下かつI/2視標による両眼中心視野角度が56度以下のもの
- 自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が40点以下のもの
- 身体の機能の障害が前各号と同程度以上と認められる状態で、日常生活に著しい制限を加えることを必要とするもの
3級
- 両眼の視力がそれぞれ0.1以下に減じたもの
- ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のI/4視標による周辺視野角度の和が80度以下に減じたもの
- 自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下に減じたもの
障害手当金
- 両眼の視力がそれぞれ0.6以下に減じたもの
- 一眼の視力が0.1以下に減じたもの
- 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
- 両眼による視野が2分の1以上欠損したもの
- ゴールドマン型視野計による測定の結果、I/2視標による両眼中心視野角度が56度以下に減じたもの
- 自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が100点以下に減じたもの
- 自動視野計による測定の結果、両眼中心視野視認点数が40点以下に減じたもの
- 両眼の調節機能及び輻輳機能に著しい障害を残すもの
- 身体の機能に労働が制限を受けるか、または労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
障害年金申請を自分で行う場合のメリット・デメリット
障害年金の手続きは複雑であり、自分で行うか専門家に依頼するかで選択肢が分かれます。ここでは、自分で手続きする場合のメリットとデメリットを解説します。
メリット
- 費用がかからない
専門家(社会保険労務士)に依頼する場合は成功報酬や相談料がかかる場合がありますが、自分で行う場合はその費用を節約できます。 - 手続きの全体を把握できる
必要書類の準備や提出までを自分で行うため、手続きの流れや必要な条件を詳しく理解できます。 - 柔軟な対応が可能
書類の提出や修正が必要な場合も、自分のスケジュールに合わせて進められます。
デメリット
- 手続きが複雑で時間がかかる
障害年金の申請には多くの書類を揃える必要があり、特に診断書の内容が重要です。慣れていないと大変です。 - 不備があると受理されない可能性がある
書類に不備があると、申請が受理されない場合があります。不備の修正や再提出が発生するとさらに時間がかかります。 - ストレスが増える可能性がある
視覚障害がある中で膨大な資料を確認をしたり準備するのは、身体的・精神的に負担がかかることがあります。
専門家(社会保険労務士)に依頼する場合のメリット・デメリット
メリット
- 申請の成功率が高まる
経験豊富な専門家に依頼することで、受理される可能性が高くなります。 - 手間が省ける
書類の準備や記入、年金事務所とのやり取りを任せられるため、負担が軽減されます。 - アドバイスが受けられる
自分では見落としがちなポイントを教えてくれるため、適切な内容で申請できます。
デメリット
- 費用がかかる
成功報酬や相談料が発生します。報酬は年金の受給額に応じた割合であることが多いです。 - 完全に任せきりにならない場合がある
書類の一部や診断書の取得は自分で行う必要があり、全てを丸投げすることはできません。
まとめ
視覚障害による障害年金の申請には、自分で行う方法と専門家に依頼する方法があります。それぞれにメリットとデメリットがあるため、状況に応じて選択することが重要です。
また、視覚障害の原因となる傷病や、障害年金の認定基準については、日本年金機構の公式サイトで詳細を確認することをおすすめします。
障害年金は、生活を支える重要な制度です。適切な手続きを行い、必要な支援を受けられるようにしましょう。
最終更新日 2か月 by 大庭雄輝
投稿者プロフィール

- 社会保険労務士
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当事務所では兵庫県内神戸・芦屋を中心に障害年金に関する幅広いサポート依頼に対応しております。兵庫県内はもちろんのこと、他府県でも対応させていただきます。当事務所は『障害年金のことで困っている方々の力になりたい』という想いから、障害年金特化型の当事務所を立ち上げました。
障害年金を受給できれば、ご自身やご家族の経済的な安定はもちろん、精神的な支えにも繋がるはずです。もし障害年金のことでお悩みでしたら、まずはお気軽にご相談ください。
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