【社労士が解説!】脳梗塞・脳出血で障害年金を受給する際のポイント
目次
病気や怪我での生活の不安、
それをサポートする「障害年金」とは?
病気や怪我の障害で仕事が出来ず、収入が得られない。(寝たきり状態や外出が出来ない等)
病気や怪我の障害で仕事に制限がかかってしまいまとまった収入が得られない。
といった障害が発生することがあります。
そんな時には「障害年金」を利用しましょう!
障害年金とはいわゆる年金ですが、一般的に65歳以上で支給される年金とは少し違いがあります。
「老齢年金」
…原則65歳以上で加入期間等に応じて年金額が計算されもらえる年金
「障害年金」
…原則20歳~64歳の方が対象で、病気や怪我で障害を負った方がもらえる年金
障害年金には2種類(※1)あり、初診日(※2)により支給される年金が変わります。
※1 国民年金=基礎障害年金、厚生年金=障害厚生年金
※2 初診日とは体調が悪くなったときに受診をした日
このように「障害年金」を取得することで年金として国からお金が支給されます。
ですが、障害の状況により支給額や支給認定は異なりますので注意は必要です。
では、自分が障害年金の支給要項を満たしているのか確認をしていきましょう。
脳梗塞・脳出血とは
「脳梗塞」
…何らかの原因で脳の動脈が閉塞し、血液がいかなくなって脳が壊死してしまう病気です。
「脳出血」
…脳の細い血管が裂けて、脳の組織の中に直接出血することです。
→後遺症例
麻痺(運動、感覚)、言語障害、認知機能の障害
脳梗塞・脳出血で障害年金を申請する条件
(いずれの条件も満たしている必要があります。)
・初診日に年金に加入していること
脳出血・脳梗塞で病院を受診した時に、国民年金か厚生年金のいずれかに加入している必要があります。「受診状況等証明書」という書類があり、初診日がいつどこでどの病院を受診したかを証明しなければなりません。
・保険料を納付していること
初診日の前日に、初診日がある月の前々月までの被保険者期間で、国民年金の保険料納付済み期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合委員機関を含む)と保険料免除期間を合わせた期間が3分の2以上である必要があります。20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合はこの条件は不要となります。
上記条件を満たしていれば障害認定日の翌月分から障害年金を受給できます。
ただし、脳血管疾患は障害認定日の特例があり、通常「初診日から1年6ヵ月を過ぎた日」が障害認定日になりますが、
脳血管疾患では初診日から「6か月を経過した日以降、症状が固定した日」を障害認定日とする場合があります。
この特例は、機能回復がほとんど望めず症状が固定した、と医師が判断したときに認定されるものです。
脳血管疾患ではほとんどの場合、リハビリが行われるでしょう。
リハビリの目的が、どの時点から「機能回復」ではなく、「現状維持」になったのかが重要なポイントとなります。
脳梗塞・脳出血の障害等級
脳梗塞・脳出血の場合、障害により等級の判断が変わります。
身体の障害
国年令別表(厚年令別表第1) | わかりやい訳 | |
1級 | 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの | 日常生活を送るのに必要な動作がすべて一人ではできない状態又はそれに近い状態 |
2級 | 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、または日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの |
日常生活を送るのに必要な動作の多くが一人ではできない状態
|
3級 | 身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることが必要とする程度の障害を残すもの | 日常生活を送るのに必要な動作の一部が一人ではできない状態 |
言語機能の障害
国年令別表(厚年令別表第1、2) | わかりやすい訳 | |
1級 | 該当なし | 該当なし |
2級 | 音声又は言語機能に著しい障害を有するもの | 日常会話が誰とも成立しないほどの障害 |
3級 | 言語の機能に相当程度の障害を残すもの | 日常会話が部分的になりたつものの多くの制限がある。 |
高次脳機能障害
障害の状態 | わかりやすい訳 | |
1級 | 高度な認知障害、高度の人格変化、その他の高度の精神神経症状が著明なため常時の援助が必要なもの | ひどく物が認知出来ない、人格の変化が激しい、その他のひどい精神状態がはっきり表れ、常に誰かがサポートしていないといけない状態 |
2級 | 認知障害、人格変化、その他の精神神経症状が著明なため、日常生活が著しい制限を受けるもの | 物が認知できないことや人格の変化、その他の精神症状がはっきり表れ、日常生活にかなりの影響を及ぼしている。 |
3級 |
1 認知障害、人格変化は著しくないが、その他の精神神経症状があり、労働が制限を受けるもの 2 認知障害のため、労働が著しい制限を受けるもの |
物が認知出来ないことや人格の変化は大きくなく精神症状をあり、仕事に影響を与えている。 |
障害年金の受給が決定したら
・障害年金の初回支給日
申請後、支給が認められた場合は、日本年金機構から年金証書が送られてきます。
年金証書に記載されている「裁定日」が月の前半だった場合には翌月15日に、「裁定日」が月の紅斑だった場合には翌々月の15日に初回の障害年金が支給される
※例:初回支給月が3月で支払開始月が同じ年の1月の場合は、3月に支払われるのは1月分のみとなり、4月から偶数月の支払から定期支払の2か月分となります。
・振込先
支払は、請求手続きをしたときに届け出ている本人名義の金融機関の口座に振り込まれます。
・2回目以降の障害年金の支給日
2回目以降は、偶数月の15日に、2か月分の障害年金がまとめて支給されます。
障害年金の手続きの流れ
- 初診日を確定する。
- 保険料の納付要件を満たしているか確認する。
- 受診状況等証明書を取得する。
- 医師に診断書を作成してもらう。
- 病歴・就労状況等申立書を作成する。
- 申請に必要な書類(戸籍謄本や通帳のコピーなど)をそろえる。
- 年金事務所か市区町村役場(または役所)に提出する。
※4と5は順番を前後し、医師の診断書の元にしてもらうことも可。
医師へ診断書を依頼するときは書いてもらう症状により等級が低いか不支給となる場合もあります。
病歴・就労状況等申立書を事前に書いて渡すことで医師へも障害の状況が伝わる為、スムーズに申請を進めることが出来ます。
障害年金の受け取る額(目安)
初診日に加入している年金で受け取る金額は変わってきます。
障害基礎年金は1級、2級
障害厚生年金は1級、2級、3級
障害厚生年金は2級以上であれば障害基礎年金を同等級分併給されます。
等級 | 障害基礎年金額 | 子の加算額 | 障害厚生年金 | 配偶者の加給年金 | |
1級 | 99万3750円 |
2人まで 一人につき 22万8700円 |
報酬比例の年金額×1.25 | 22万8700円 | |
2級 | 79万5000円 | 報酬比例の年金額 | 22万8700円 | ||
3級 | 支給なし |
3人から 7万6200円 |
報酬比例の年金額 最低保障額 59万6300円 |
支給なし |
※等級の詳細については上部記載の認定基準参照
※障害基礎年金は子の加算額がプラス支給あり
※障害厚生年金の場合は配偶者の加給年金と子の加算額の併給可能
障害年金の手続きに必要な書類
書類名 | 確認事項 |
基礎年金番号通知書 年金手帳等 |
加入期間の確認の為 |
戸籍謄本 戸籍抄本 |
ご本人の生年月日を明らかにできる書類 単身者の方で日本年金機構にマイナンバーが登録されている方は、左記の戸籍謄本等の添付が原則不要となります。マイナンバーが登録されていない方は、年金証書にマイナンバーを記入することで、左記の戸籍謄本等の添付が原則不要となります。 ・マイナンバーの登録状況については、インターネットを通じてご自身の年金の情報を手軽に確認できる「ねんきんネット」で確認することが出来ます。 ・ただし、「年金請求書」を共済組合等に提出される場合には、別途、住民票等の添付書類が必要になる場合があります。 |
医師の診断書 |
障害認定日より3か月以内の現症のもの。 障害認定日と年金請求日が1年以上離れている場合は、直近の診断書(年金請求日前3か月以内の現症のもの)も併せて必要となります。 また、診断書に併せて、レントゲンフィルムや心電図のコピーの提出が必要な場合があります。 |
受診状況等証明書 | 初診時の医療機関と診断書を作成した医療機関が異なる場合、初診日の確認の為 |
病歴・就労状況等証明書 | 障害状態を確認するための補足資料 |
受取先金融機関の通帳等 |
カナ氏名、金融機関名、支店番号、口座番号を記載された部分を含む預金通帳またはキャッシュカード(コピーも可)等 ・請求書に金融機関の証明を受けた場合は添付不要です。 ・公金受取口座を利用する方は、請求書の「金融機関の証明」欄の証明および受取先金融機関の通帳等のコピーの添付は不要です。 なお、公金受取口座の登録口座を変更したとしても、年金の受取口座は変更されませんので、年金受取口座の変更を希望される場合は、「年金受給権者 受取期間変更届」の届出が必要となります。 ・インターネット専業銀行での年金の受け取りについては、年金Q&A「インターネット専業銀行で年金の受け取りはできますか。」をご参照ください。 |
などが必要となります。
(場合により必要な書類は増えることがあります)
障害年金は要項を満たせば、誰でも申請することが可能です。
申請し支給されることが決まれば年間で最低でも約60万円のお金を受け取る事ができ、生活の支えになるかと思います。
ご自分でも障害年金を申請することは可能ですが、もしご不安な点等ございましたら当事務所の無料相談をご利用ください。
最終更新日 8か月 by 大庭雄輝
投稿者プロフィール
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当事務所では兵庫県内神戸・芦屋を中心に障害年金に関する幅広いサポート依頼に対応しております。兵庫県内はもちろんのこと、他府県でも対応させていただきます。当事務所は『障害年金のことで困っている方々の力になりたい』という想いから、障害年金特化型の当事務所を立ち上げました。
障害年金を受給できれば、ご自身やご家族の経済的な安定はもちろん、精神的な支えにも繋がるはずです。もし障害年金のことでお悩みでしたら、まずはお気軽にご相談ください。
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